ハヴァシュ式を学んでいると頻出する「ギヴィングハンド」。
指導者養成コースで学び始めた頃、ハヴァシュ式デジタルレッスン(オンライン上で閲覧するレッスン)や書籍でぼんやりとイメージしつつも、いったいどのあたりが“give”なんだろう、と思っていました。
漠然とした疑問を胸に抱えたまま、初めてちすみ先生のお宅に伺ったのは、冬休みの終わり頃。
実は私、大阪の吹田生まれ、5歳まで吹田育ち。その後は主に横浜でしたが、就職した金融機関の配属先も大阪で、関西と縁のある育ちなので、ちすみ先生のいらっしゃる神戸に行くのも、懐かしい気持ちでした。
先生のお宅のドアの前までたどり着いたときには、先生は玄関ドアを開けて待っててくださいました。
そして始まったレッスン。
実際に、腕に、手に、触れてもらいながら、ハヴァシュ式の有機的な動きを感じていきます。
その回の主なテーマは、「左手」。
ヴァイオリンを長年弾いていると、音色を作るのは右手だと思いがちです。
なぜなら、目に一番見えやすい動きが、運弓だから。
でも、ハヴァシュ式では、左手こそ、音色を生み出す原初の感覚を得る重要な鍵です。
その日、いつもと同じようにネックを持った私に、先生はすかさず
「うん、小さい頃からやってはる人は、難なくできてしまう形やけども。」
と言って、
ふわぁっと、両手で私の左手首を包んでくださいました。
瞬間、その温かみに、私の思い込みでは左手首には入っていなかったはずの「力」が、ふわっと抜けます。
「ギヴィングハンド。差し出す手、やねん。」
手首の強張りがスッと取れると同時に、今まで頑張って下から支えていた親指の強張りも取れます。
40年間、手首に緊張を強いながら弾いてきたのかと、雷に打たれたような気づきでした。
この「気づき」が最も大切。それからも、私の手首はいつも頑張ろうとしますが、いつも気づきを思い出し、手首に向かって「頑張らなくていいよ」と伝え続けています。
先生の温かくて柔らかな音の秘密が少しだけ分かった、あの日。
他にも先生に見抜かれた『入っていなかったはずの「力」』がありますが、
今回はここまで。
ハヴァシュ式では、私たち奏者の積み重ねてきたものを決して否定しません。
『入っていなかったはずの「力」』を見つけ、解除する。
ハヴァシュ式で得た知見を、自分の軌跡に塗り重ねていく。
その作業を淡々とすればいい。
ただひたすら、もっと楽に、もっと楽しく弾ける道を、先生はランタンで照らしながら教えてくださるのです。
次回は左手、第2弾を綴ります。

